東京の東大和子ども劇場さんが『子どもの居場所作り』事業の取り組みを行っています。その取り組みに講師としてバーバンは、関わっています。
月に3回(日曜日1回、水曜日午後2回、そのうちバーバンは2回行っています)、ある団地の公民館を集合場所にして、そこを基点に団地周辺を使って遊んでいます。今年の5月から来年の3月まであるので、単純に計算しても、33回あることになります。
内容・テーマは、『忍者修業』。集まる公民館1室には、筆で「忍者修業道場」と書かれた紙が張り出されます。毎回、大人も子どもも、いろいろな修行をしていきます。誰が来るかは、その時になってみなければ分かりません。申し込んでくる子もいれば、その団地の中で遊んでいた子、チラシや張り出された「修業道場」になんだろうと興味を持ってくる子など、いろいろな子ども達が参加してきます。
この前の日曜日も、忍者修業道場が開かれました。
この日の修行は、宝見つけ修行。グループに分かれ、それぞれが心動くもの、例えば「あっ!」「いいね!!」「うそー!」「えっ〜!!」「おぉ〜!」と思わず心躍るものを宝物として見つけていきます。それは、自分達の心が動き、宝だと思えればどんなものでもいいのです。
子ども達はいろいろな物を見つけてきます。花、虫、腐りかけたテニスボール、飴、タブレットの箱、大きなぬいぐるみなどなど、本当にたくさんのものを見つけてきます。見つけてきた子にとってはどれも立派な宝です。珊瑚の岩みたいな物を見つけてきたチームもありました。こんなものがこの団地にあったんだ〜!と驚かされます。
そして、遊びが終わった後、その珊瑚の岩を大事に家に持ち帰っている子どもがいました。
そういえば、前々回の時に、しりとり宝探しという修行をした時にも同じように家に持ち帰っている子がいました。
しりとり宝探しは、しりとりをしながら宝を見つけていきます。例えば、東大和の『と』から始めるとすると、『と』が頭につくものを探します。時計があれば、次は、時計の『い』に続くものを探していきます。こんな風にしりとりをしながら宝を探していきます。
その時に、『お』で「おおきな石」という宝を見つけてきたグループがありました。たしかに大きな石でした。漬物石のような大きな石です。でも、まぁ、普通の石です。しかし、その子達は、あそびが終わってから、グループの皆でその石に、マジックで自分達の名前と宝という字を書いて、大事に家に持ち帰っていました。「今でも、家に石があります」と、その子のお母さんは嬉しそうに?言っていました。
遊びの中で、子ども達の心が動き、おもしろがる力が発揮されて、自らのおもしろさに向かい何かを選び取った時に、その選び取った何か・物は、その子達にとって、かけがえのない物になっていくのだなぁと改めて実感しました。
きっとそれは、物だけでなく、場所や人に対してもそうだと思います。子ども達のおもしろがる力が発揮され、子ども達の内側から「おもしろい!」「たのしい!!」という実感が生まれたときに、遊んでいた場所や共に遊んでいた仲間は、グッと自分にとって身近な親しい特別な関係になるような気がします。きっと、石に名前を書き合っていた子ども達の間には、何かつながりが生まれているはずです。
ところで、話は変わりますが、昨日、皆さんはサッカーの試合を見たでしょうか?本当に良かったです!!サッカー日本代表、W杯出場決定おめでとう!!昨日は、テレビの前でハラハラドキドキしながらじっと見ていました。
僕は、サッカーは見るのも実際にやるのも好きで、おもしろいなと思います。どんな所が魅力的かと言えば、それは、選手一人一人の力が複雑に複合的に絡み合ってチームが出来ているという所です。力を持った一人や二人がいてもチームが強いとは限らないし、逆に一人一人の力が小さくてもコンビネーションや組み合わせ方・作戦によっては、「1+1=2」以上の力、「1+1」が3や4や5にもなるという部分が魅力的です。選手間の動きやパスなどのやりとり・コミュニケーションで力が何倍にもなるというところがおもしろい。
このことは、遊びの世界にも言える事だと思います。一人一人のあそびに向かう力・おもしろがる力が双方向に絡み合うことで、遊びが広がっていく事があります。そんな事が、忍者修業道場の中でもありました。
宝見つけ修行をした後、最後に氷解かしの術修行というのをやりました。
これは、いわゆる氷鬼を思い出してもらえると分かりやすいのですが、氷忍者(鬼)にタッチされると、氷の石になってしまい座らなければいけません。ここまでは、氷鬼といっしょですが、仲間を助ける方法が違います。氷の石から復活させるためには、その氷の石を、生きている忍者が手をつなぎしゃがんで囲みます。そして、レンジで温めるが如く「チンッ!」と言いながら立ち上がるのです。これが、氷解かしの術、おもしろくて、「チンッ!」というだけで笑ってしまいます。
氷の石を見つけると、性別・年齢を越え、手をつなぎ「チンッ!」、いろんな所で「チンッ!」が聞こえてきます。そして、氷の石が5つくらい固まっている場所では、その大きな塊を囲むために5人くらいの忍者が手をつなぎ「チン!!」5つの石が同時に復活します。氷の石を囲めればいいのです。みんなで「チンッ!」をする快感があります。これらは、僕の中では、想定していたおもしろさでした。
しかし、何回かやっていく中で、新たなおもしろさが生まれてきました。それは、復活の方法です。
3回戦目に鬼を増やそうという事で鬼を募集しました。みんなやりたいようで、たくさんの子どもが立候補しました。じゃんけんをし、5人の氷忍者が決まりました。それまでは、3人で人数も少ないし、大人だったので鬼だと分かりやすかったのですが、今回は5人、しかも氷忍者の目印として型に風呂敷はつけているけれど、誰が鬼だか分からなくなってきてしまいます。
そうすると、氷忍者が強い。たちまち、氷の石だらけになっていきます。生きている忍者が少ないので、なかなか手をつなぐことが出来ず復活させてあげられません。
そんな時にある2年生の子が、「ひとりチンッ!」を生み出しました。つまり、氷の石のところで、自分の右手と左手を合わせ、石を抱くようにしてチンッ!するわけです。その子にぼくが助けてもらった時は、背中の方から手をまわされて、抱きしめられるような感じになりました。その子は2年生なので、腕がまだそんなに長くないので、それがきついこと!!でも、その助けようとする必死な思いになんだか嬉しくなってしまいます。
これは、遊びのルールからいったら、違反というかはみ出しています。もともとは、誰かと手を繋がなくてはいけないものでした。だから、そんなのダメだよ!と言う事も出来ますが、しかし、その子の必死な様子を見ているとそれもありだな!、おもしろいね!と思い、そんな事は言えませんでした。みんなもその子のその行動を自然に受け入れて、復活していました。そして、その復活方法は、みんなの中にも広まっていきました。
こんな風に、こちらの提案した遊びの持っている元々のおもしろさ・魅力に、子ども達のおもしろがる力が絡み合って、新たなおもしろさが生まれてきました。自分の子ども時代を思い返しても、いろいろな遊びを自分達の中で、やり方を変えてみたり創意工夫をしたりして、自分達でおもしろさを見つけ創っていた気がします。自らのおもしろがる力を発揮し、仲間と共にその力を絡めて、あそび込んでいく、あそびを創り合っていく事ができるのだと実感しました。
この居場所づくりの取り組みで、僕らが伝えたいことは、まさにその事だと思います。自分達の中におもしろがる力があるということ。そして、みんなのその力を絡ませたら、新たなおもしろさが生まれてきて、そんな風にして遊び込んでいけるという事。僕は、この取り組みが33回という長丁場で、僕らは何の遊びをしたらいいんだろう?とこちらから投げかける・与える事ばかりを考えてしまっていました。でも、みんなの中にもおもしろがる力があるということに気づいた時に、みんなでおもしろさを見つけていけばいいんだということに改めて気づかされました。
そして、そうやって自分達のおもしろがる力が発揮され、遊び込み、自分達の内側から「おもしろい!」「たのしい!!」という実感が生まれときに、遊んでいた場所や共に遊んでいた仲間が、自分達にとって身近な親しい存在になる、つまり、心の拠り所としての本当の居場所になるのだと思います。
僕らが関わる中で、一人一人のおもしろがる力が耕され、日常の生活の中でも、遊びが広がっていき、空間や仲間などのたくさんの心の拠り所を見つけていけるといいなぁと思います。
さて、この取り組みは、これから、どうなっていくのでしょうか??楽しみです!!!
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