あそびの劇場の新作「ニコニコ山はたいへんだ!」(5〜7歳対象の劇あそび)が北九州子ども劇場にて上演されました。
子ども劇場での公演は初めてだったので、とても刺激的であり、特にこの作品の方向性を改めて確認できた意味でも収穫のある公演になりました。
この作品は、折り紙で作った人形が登場するところから始まります。
ニコニコ山に住む動物のブタのトンくん、ウサギのテンくん、たぬきのカンちゃんです。
この3匹に降りかかる出来事を子どもたちはしっかり見ます。
そして3匹の動きに反応し、共感し、感情の交流が行われていきます。
物語の中に入り込み、やがて物語の登場人物(?)として動物達とともに物語を作り、進めていく存在になるのです。
やがて問題が解決され、また折り紙の人形たちの物語がちゃんと終わるのを見届けるのです。
この間、一人一人の感情という振り子は大きく、色んな方向に振られていきます。
笑ったり、怒ったり、ドキドキしたり、驚いたり、嬉しくなったり、困ったり、怖くて目をそむけたり、泣き出してしまったり・・・。
特に今回は3〜4歳の子が入ったこともあり、怖さとの向き合い方はみんな半端ではなく、「家に帰る〜!」とか、全く動けなくなったり、泣きながら逃げようとしたり・・・。
一人の手に何人もの手が繋がったり、ピタッとくっついて離れなかったり。
でも、物語の中をともに生きている仲間やキャストとの関わりの中で、たくさんの知恵を出し、オオカミに気づかれぬよう草や木になってトン君たちを隠そうとしてくれたり、石や岩になってごまかそうとしたりしていくのです。
それでもやっぱり怖いので励ましたり励まされたり、無理はせず、自分の出来る範囲で勇気を出し合っていきます。
最後にオオカミを森から追い出すときなどは、ヘビになったり、お化けに変身したり、恐竜の足音を作り、炎になって燃え上がったり。
自分の中の様々な感情や怖さと向き合いながら、自分なりにコントロールし、出来る範囲で心と身体を目いっぱい使って表現していきます。
そして物語のおしまいを共に喜び、確認して、この作品は幕を閉じるのです。
物語をあそび合うとはまさに「その世界を共に生き合うこと」と改めて思います。
この時間の中で子どもたちはこんなにも怖くなるとか、こんなにも嬉しくなる、こんなにも動けなくなるし、こんなにもドキドキする、というプラスやマイナスの感情とたくさん向き合うことになります。
いま、このことはとても大きな意味があるように思うのです。
終わってから
「こんなに怖がらせる必要がありますか?」
という質問がありました。
1つ間違いがあります。
怖がらせたのではなく、一人一人が怖がったのです。
もちろん年齢のことはあります。
やはり「わかってあそべる」5歳以上がふさわしいとは思いましたが、それでも「怖い」という感情に向き合うことは悪くないと思うのです。
もちろん脅かしっぱなしや現実の世界の中で脅してしまうと抜けることが出来ず引きずってしまうので、物語の中で完結する!が大前提なのは言うまでもありません。
しかしこういう感情と向き合い、仲間と共に少しずつ乗り越えていくという体験の積み重ねは、思春期になって感情のコントロールが出来ない!キレる!前頭葉が育っていない!と言われる今という時代の中ではますます重要になってきています。
十も一も含めていろんな感情がこんな風に出てくる!これを逃げずに向き合い、少しずつ自分の感情をコントロールし問題の解決に向かっていく!
物語やイメージの中で何度も何度も繰り返し、充分体験したことがやっと自分の感情をコントロールしていく力を育んでいくことになると思うのです。
さらに、この物語の中で一人一人の湧き出る感情を否定せずに受け止め、引き受け共に動いてくれる仲間や大人がいる。
信頼し、あおったり、「ダメ!」を出すのではなく、励ましてくれる人がいる。
それはきっと目的に向かう勇気を少しずつ育んでいるのだと言えます。
ですから1回みんなで見て終わり、ではなく、何度でもどこかにいるオオカミに立ち向かい劇あそびをして欲しいし、この公演の中でも長期にわたるあそびが出来るのではないかという、この作品の持つ可能性も感じてきました。
最後に私たち自身、
その瞬間を共に生き、
感情やイメージを交流できる、
しなやかな心と身体を持ち続けたい!
と強く思いました。
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