先日、千葉県野田市にて中高生12人と「関わりの中に権利あり」のワークショップを行ってきた。
夜7時。
初めての子どもたち。
不安と緊張の顔が並ぶ。
まずは自分の大好きな飲み物とともに自己紹介。(まだ緊張はほぐれない・・・)
全員が終わったところで、動きながら心と身体を少しずつほぐしていくことから始める。
手だけを使っての体操で少し笑いが出るなか、2人一組の「運転手」「新聞紙玉キャッチボール」へと続く。
「運転手」は2人一組が前後になり、前の人の肩をハンドルにし、後ろの人が運転操作しながら、2人で気持ちよく歩いていく、というもの。
しかしそこにいくつかの課題が入ってくる。
前の人が眼をつぶる。
スピードを上げていく。
歩行者をよける。
障害物に気をつける。
さらには運転手が交代していく(今回はしていない)
etc…
という具合だ。
しかしあくまでも目的は2人で心地よく歩きたい、ということ。
そこで、その中で沸き起こる感情と向き合い、言葉ではなく身体で相手の緊張や不安・安心を感じながら、自分の身体で伝えていく、ということを繰り返していくのだ。
終わった時、2人は互いに拍手と歓声を上げている。
安心するために信頼し合い、関わり合った姿がそこにあった。
「新聞紙玉キャッチボール」も同時に投げっこをするだけのあそびだが、2人の場所を様々に変えることで、互いにしっかり玉を取ることが難しくなってくるのだ。
そこで考える。
「どうしたら2人が心地よく玉を取ることができるか」と。
謝り合っても仕方ない。
ペアを変えることもできない中、少しずつ提案をし、どうしたら安心して玉を取ることに向かえるのか、話し合いが始まった。
このあそびは「連続記録コーナー」があり、2人で28回、全員で輪になっても30回という新記録が出るくらい、熱気を帯びたあそびになった。
みんなが同じようにすぐその気になる!などということはあり得ないし、目指す必要はない。
不安感も打ち消すのではなく、抱えながらも少しずつリラックスできることを!
緊張感もなくならないけど、集中できる状態になることを!
これらを知り、実感することが大切である。
これらのあそびは、決してあせらない!慌てない!そしてあきらめないこと。
一人一人のリズムが合うこと、それを認めていこう!というメッセージを込めながらこの時間はゆったりと過ぎていく。
みんな少しずつ笑いが出、笑顔をのぞかせるようになってきた。
そして、身体だけを使って表現する「絵はがき」というあそびの後、今日のメインプログラム「FAX」を行った。
2人一組になり、1人が会場にかくされている絵を見て、その絵を見てない自分のペアの人に言葉だけを使ってその絵と同じ絵を描いてもらう、というもの。
絵を見た人が絵を見てない人にどうやって伝えていくのか、壮絶な闘い(?)の幕が切って落とされた。
このあそびは「絵を描く人が安心して描けるように伝えてください」という方向性で始まるのだが、絵を描くやりとりの中で様々な感情と向き合うことになる。
絵を見てない不安や、「うまくかけるかな」というプレッシャー。
伝えている人の表情が「しまった!」という顔の時は強く動揺し、相手が「そう!そう!」とか「いいよ〜!」とか言ってくれると嬉しくなったり…。
伝える側も、どこまで分かってるのか不安になったり、イラついたり、違う風に描かれると落ち込み、焦ってしまったり…。
しかし2人が交替しながら行ううち、相手の心に思いを馳せることができていく。
どうしたら安心して描いてもらえるのかを考え、言葉を選んでいく。
やがて絵が本物に近づいていくと同時に二人の関わりも安定してくるのだ。
1回目を終え、まるで伝わっていないことに愕然としながら、再度挑戦をしていく。
様々な感情や嫌な関わりを実感しつつ、「2人が安心して心地よく絵を描くためにどうするのか」を話し合い、2度・3度とこのFAXは時間を超えてまでも続けられた。
終わってから
「言葉だけで伝えるのがこんなに難しいとは」
「伝わらなくて大変だった」
「相手とイメージが共有され、分かり合えるととても嬉しい」
「面白いし、またやりたい」
こんな感想が出た。
そこには関わりを遠ざけない姿がある。
まさに「権利」が身近なものとして迫ってきている。
すぐ答えは出なくても、子どもたちとこのことをしっかり積み重ねていきたい。
子どもと大人がパートナーとして共に生きる関わりを考えていこう、と始まった「子どもの権利条約推進活動」の取り組みも今年で8年目を迎えた。
もともと児童館の職員時代に、こどもも大人も「関わりの中で自分らしさを発揮」していくことの不自由さや窮屈さが関わりを遠ざけているように感じた私は、「権利」という問題を理屈ではなく、身近な関わりのなかで実感していくようなことができないか、と考えていた。
そこで権利を
「自分のやりたいことを通す主張」
というイメージではなく、
「色々な場面でお互いがぶつかり合い、それぞれの意見を尊重しながら、どうしたら問題解決に向かっていくのか、基準となるもの」
ととらえ、テーマを
「関わりの中に権利あり!」
とし、自分と向き合い、他者と向き合い、その中で起こる様々な関係性を実感しながら何かを成し遂げていく、というスタイルの表現ワークショップを行うことにした。
さらにそのことを通して互いにその気になったり、互いに安心したりして、心地よさを実感していくことを目指したいと思った。
表現あそびにおける様々な関わりは、恥ずかしさ・不安・緊張・とまどい・遠慮・対立・葛藤など、次から次へと湧き出る感情と向き合い、あそびの持つ魅力や面白さの力により、そこから逃げず、少しずつ少しずつ、どうしたらその気になり、互いに安心できていくのか、その関わりを模索していくことにある。
そしてやがて、相手を意識し、しっかり見、聞き、受容し、共感し、さらには付けたし提案していく、という関わりの中で目的を達成していくことになるのだ。
こういった体験の積み重ねが「権利」という、関わりの中で起こる意見を調整していく基準になる力を磨いていくことになるのだ、と思う。
「関わりの中に権利あり!」
人と人との関わりの中でこそ人間らしくなっていくのだと、あらためて思う。
|