この前の週末に、千葉県市川の子ども劇場さんで土曜日は『忍者』、日曜日は『スパイ大作戦』を行いました。
忍者の取り組みでは、低学年を対象に約40名の子ども達と大人があそび合いました。
僕は、幼児・親子さん10組と修行をしました。幼児さんは、最初に会場に集まった頃やあそびが始まった頃は、まだまだ緊張してこわばった表情の子が見られました。それは、会場の広さや人数の多さに圧倒されていたり、忍者のイメージが恐かったり何をするか分からなくて不安だったりするからだと思うのですが、あそびを進めていくと徐々にその緊張もなくなり、笑顔が見られてくるようになりました。
その変化は、幼児のお父さん・お母さんも同じでした。あそび込んでいく内に、優しい表情になり、子どもの言葉・つぶやきに思わず笑い、大人が段々に心踊っていく様子が伝わってきました。あそんだり、子どもの存在があることで大人は楽になれていったのです。そして、そんな風に大人の気持ちがほぐれていくことで、あそびの中で子ども達に「あれはなんだろうね?」「どうやっていこうか?」「どこにかくれようか?」「何に変身する?」と(こちらが促さなくても)どんどんとお父さん・お母さんから語りかけ子どもから返ってくる言葉や行動に心寄り添いやりとりを楽しんでいました。
その事は、子ども達のあそぼう!という気持ちの後押しをしているような気がします。大人のあそぼう!楽しい!という気持ちが、子ども達が居心地よくあそびに向かっていくための拠り所になっていると思います。だから、つまり、子ども達のあそぼう!という気持ちと大人のあそぼう!という気持ちが、互いに互いの気持ちを膨らましていくような相乗効果になっているなと思ったのです。
そのことは、日曜日のスパイ大作戦でも感じられました。
スパイは高学年を対象に取り組みました。集まった子ども達は、11名。大人の方が14名、バーバンのスタッフが6名。大人の方が多かったのです。僕らは普段は30〜40名の子ども達とこのスパイはやる事が多いので、今回は大人の方が多いし、11名だともしかしたら子ども達が気後れしてしまうのではないかと心配していました。
しかし、その心配は取り越し苦労に終わりました。個人差はありましたが、子ども達はそれぞれのタイミングで、はじまってすぐに、あるいは中盤から、または最後の方からと、ひとりひとりがその気になってあそんでいました。11名だったのでそれぞれの子ども達の様子がよく分かったのですが、一人一人が自分らしさを発揮していたような気がします。まさにそれはぼくらバーバンがやりたい事。では、なぜそれが出来たのでしょうか?
それは、様々な要因があるとおもいますが、そのひとつに大人の存在があると思うのです。
忍者の時と同様、大人は自身があそんだり、おもしろがる楽しむ子ども達に関わって子ども達の表情・発言・行動・思いを間のあたりにして、大人の気持ちが温かくなっていきました。そして、それは大人自身のあそぼう!という気持ちを膨らませて、大人自身もおもしろがり楽しみ、自分の思いを表情や言葉や動きを通して表現して、子ども達と関わっていきました。
すると、その大人の楽しげな雰囲気が子ども達に伝わり、子ども達の気持ちもまた温かくなりました。
そんな風にお互いの一人一人のおもしろがったり楽しんでいる様子を見合って一人一人の気持ちが温かくなっていくことで、全体が温かな雰囲気になっていき、またお互いがイキイキとなっていったのです。
つまり、お互いがあそびの中で心を躍動していく様子を受け止めあっていくことで温かな雰囲気を創り出し、また、そんな雰囲気がさらにひとりひとりの自分らしい表現を引き出していったのです。
最近、よく思うのは、一人一人がイキイキと自分らしさを発揮したり表現していくためには、受け止める温かな雰囲気が大切だということ。植物が「光と水と土壌」があれば、ぐんぐん育っていくように、人も「周囲の人達が創った受け止めているよ!という温かな雰囲気」があれば、自然と自分らしさがあふれ出て表現されるように思います。一人一人の受け止めているよ!という温かい表現が、一人一人のその人らしい表現があふれ出るためには必要なのだと思うのです。
しかし、ここ何ヶ月の間に起きた数々の誘拐・殺人等の悲しい事件は、一人一人の中にある大切な温かなモノを壊している気がします。事件からもたらされた不安感や恐怖感は、その温かな開かれたモノをを閉じ込める力を持っています。その力は、人を信じてはいけない!、まち・地域は危険だ!という不信感・不安感を肥大していく風潮の中にあると思います。聞いた話によるとある学校では、まち・地域は危険!知らない大人は危ない!知っている大人も危険だ!関わるな!!と指導が子ども達に対してあるそうです。もちろん、事件から安全対策・危険回避の方法をみんなで考えていくことは当然必要だと思うけれども、それが過度でさらに不信感・不安感をあおったり、様々な関わりを断っていくような閉じた方法ではいけないと思うのです。閉じ込める力だけに浸って育っていったら、温かなモノのないせつない世の中になってしまう気がします。人を信じられない・信じたくない・信じない…、まち・地域に関われない・関わりたくない・関わらない…、、、、温かな何かを忘れてしまった、そんな人たちが増えていく事は問題を根本から解決していくことにはならない。温かなモノは大切。温かなモノを互いが持ち、受け止めあいながら育ちあっていくことが健全だと思います。
だから、温かなモノをお互いが共有できるあそび合う活動は、今の状況の中でとても意義があるのだと思います。市川での取り組みはお互いを受け止め温かなモノを共有できた取り組みでした。
あそび合う中で、自分はこんなにイキイキするんだ!仲間とこんな風に楽しめるんだ!大人とも笑い合えるんだな!!人と関わる事はおもしろいなぁ〜!!みんなの中で例えばそんな温かなモノが広がって、一人一人の中にそれが残り、それぞれが温かなモノを発信していくことができたら少しは今の状況をプラスに変えていく力になるのではないでしょうか。
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