NPO法人 あそび環境Museum アフタフ・バーバン
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2006年3月9日(月)

第97号『温かいつながり』(清水洋幸)

先月の下旬、東京府中市にある障害を持つ未就学児が通う施設で、「あそびうたをあそぶ ポンポキドン」の公演を行ってきました。
前半は、あそび歌を使って、前に出ている出演者バーバン3人と客席にいる皆さんとやりとりをしながら、遊んでいきます。
あそび歌のリズムに合わせて、親子で体を動かし触れ合い遊んでいくうちに、子ども達・親御さん達・職員さん達も笑い全体が和んでいきます。

後半は、お話を観てもらいます。お話は『ねずみのすもう』。体が細くて小さいチュー助君と体格のがっちりしたチュー太君がすもうで勝負するというお話。チュー助くんは、いつもチュー太君に徹底的にやられてしまいます。でも、おじいさんと一緒に稽古をして、最後の最後にはすもうに勝ちます。
この日も、お話の時には、2匹のすもうの様子や稽古の姿を見て、キャッキャッと喜び笑い楽しみ、応援をしてくれました。

そして、そのお話の後は、ねずみくん達と一緒にみんなですもうをとろう!みんなですもう対決!!ということになります。すもうといっても、実際に本当のすもうをするのではなくて、「変身すもう対決」です。

全体をいくつかに分けて、それぞれすもう部屋の名前を決めて、そのポーズも決めます。
大人も子どももみんなで相談をして決めていきます。僕らの部屋は、パンダ部屋。子ども達の中から、パンダにしようという声が出てきて、ポーズをみんなで相談して、目のまわりを手で囲んで、パンダの黒ブチの部分を表現しました。とってもかわいらしかったです。

そして、最初の変身すもう対決のテーマは、おすもうさんと言えば動かざる事山の如しということで、山対決。
部屋ごとに山を作ります。僕らの山は、桜山しようということになりました。部屋の中で一番背の高かった僕が中心で立ち、僕の周りに子ども達がしっかりくっつき、そのまわりで大人が桜の花を咲かせます。
形は、裾野が広がっていく富士山型。大人の皆さんがきれいな桜を咲かせてくれました。他のチームも立派な山を作りました。

果たして、勝敗は??

この時、全く予定には無かったのですが、保護者の方で、おじいさんが参加されていて、その方に、その場で急遽、即興で行司さんになってもらったのです。その方に、一つ一つの山をどうですか?と判定してもらうと、少し照れながら、言葉はなしに手で親指と人指し指で輪を作りGOODの合図をしてくれました。一つ一つの山を判定していき、判定する回を重ねていくと段々と行司さんとして楽しくなってきたのでしょうか?片手だったGOODが両手になるなど、行司さんの表現が大きくなっていきます。
とってもお茶目です。

次のテーマは、強いもの対決。

ライオンやライオンキング、恐竜、そして、愛などそれぞれ見事な変身です。行司さんも絶好調!何と言ったかは忘れてしまったのですが、コメントがとても冴えていました。その行司さんの様子をみて、他の保護者の方や職員の方は、とてもニコニコ笑顔。普段からお知り合いなのでしょう。知っているから、あの人があんな事を!という驚きのようなものもあったでしょう。しかし、そうやって微笑んでいる保護者の方や職員の方々それぞれの部屋で大活躍。子どもに負けないくらい意見を言い体を動かし表現している姿も見られました。子どもから大人までそれぞれが表現をし、お互いに表現を受け止めあっている温かい雰囲気でした。

こんな時って、いつも不思議に思う事があります。公演が始まる前、最初は、大人と子どもというのがはっきりと違う存在だなと感じるのですが、遊んでいくうちに、子どもと大人の違いがなくなっていくような、誰が大人で誰が子どもといことは気にならなくなる時があるのです。それは、きっと、今回もそうだったのですが、大人も子どもも共に本気で遊びに向かった時に、大人と子どもという区別は、“遊んでいる人”=“あそび人”とでも言いましょうか、そんな“あそび人の枠”に吸収され含まれなくなってしまうのです。大人と子どもの間の垣根は無くなり、あそび人として共に存在している仲間のような感覚です。とっても、居心地がよくお互いに近くに感じられる存在です。一体感、一緒につながっている感じがします。

この感じがとても大切なのではないだろうかと思います。
今、いろいろな事件や問題が起きています。
その原因の1要因として、人間関係が希薄化している今の社会の在り様があると思います。人間関係が希薄化しているという事は、つまり、つながりを感じられる温かい関係が少ないということです。昔は、地域の中で、共同で行う仕事やお祭りなどを通して協力する関わりがあり、その中で一緒に楽しんだり悩んだり苦しんだり喜んだりして、つながりを保っていたのだと思います。その中で、いろいろな事を体験し人間関係の按配や知恵などを学んだのでしょう。でも、今はその部分が崩れてきてしまっている。特に人が多い都会では難しいのだと思います。

だから、人と人が出会い、お互いの存在を感じて、子どもから大人までがつながり合うような機会をあそびの世界を通して少しでも創っていきたいなと思う今日この頃です。そして、そんなあそびをきっかけにそれぞれの活動の中で温かいつながりを深めていってもらえたらいいなぁ〜。

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