NPO法人 あそび環境Museum アフタフ・バーバン
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2006年11月9日(木)

第116号『一歩、前へ』(須貝京子)

私の11月は、熊本から始まりました。

9月の拡大講座で、グッとパワーアップした熊本のメンバーが、チチンプイおおきくなーれ、忍者、シアター運動会と、どの場面でも、爽やかな笑顔と共に、その力を惜しみなく提供してくれました。頼もしい限りです。

忍者修行での、小学校高学年の男子の動きが印象的でした。

彼らにとっては、初めての忍者修行。始めから、少し興奮気味です。学年を調べると、「1年生」「はーい」、「2年生」「はーい」と、6年まですべての学年に、大声を出し、手を上げます。(ははん、ちょっかい出して。まあ、私たちに関心があるってこと、シーンとしてるよりいい。でも、どこまで、やる気かな?更に質問を続けます。)「20才以上の大人」「はーい、10年後!」(おっと、なかなかやるじゃない。今日の修行はそんな彼らと、どんな関わりがもてるか!?に、決めました。)

導入劇も終わり、いよいよ外へ。「まずは、隠れ身修行」「ああ、<かくれんぼ>か」「いや、チームでまとまって隠れて、終了の声で10秒以内に、今の、この場所に戻ってくるの。だから<隠れ身修行>なのよ」「ふーん、だから、<かくれんぼ>ね。」と、わざと、興味のない風を装いつつ、動き始めます。2回戦目は、23人の大人が隠れて、子ども達が見つける番です。あわや時間切れというところで、最後の一人を見つけました。

「もう、一回やろうよ!」彼らの気持ちも、ほぐれてきたようです。

予定でいくと、次に高学年は、<しりとり宝探し>と<宝みっけ>です。

予定を変更して、彼らのリクエストに応えるか?

ただ、彼らの自分達の気に入ったことはやるけれど・・・大声で騒ぎ立てて、自分達の思いを通そうとする強引さが気になっていました。悪ふざけぎりぎりになってしまうこわさ・・・。そんな彼らの動きは、私たち大人との距離を探っている。どう関わろうかを試しているようにも見えました。

よしっ、予定通りに進めていこう。手強いかもしれないけど、だからこそ・・・。

「えーーーーっ、しりとりでいろいろ探すなんて面倒くさーい」

「やだ、かくれんぼがいいー」

予想通りの反応です。

そして、5分後。他のチームには見つからないように隠し持ってきた、葉っぱ、枝、カード、等、ベンチまでが運ばれました。「ろ」で始まる場面がきました。「ろ、ろ、ロバ!」言葉を見つけただけの彼らと、仲間忍者の大人との5人が、咄嗟に体を寄せ合いました。「あー、ロバだ」「ロバだ」発表を聞くみんなから歓声と共に、拍手がおきました。ロバ特有の、まねけた顔と、力の抜けた体つき、馬とは全く違うその姿が、見事に再現されました。チームとしての気持ちが、そこにいるみんなの気持ちも、ギュッと集まった瞬間でした。やって良かった!これなら、<宝みっけ>も、なんとかいけそうだ。

あっと驚いたり、いいなあ、うれしいいなあ、えーっ、おもしろいと、心を動かしながら、公園のあちこちを<あいうえお>で探しながら、いくつか宝を見つけ、その中から、ひとつを決めて、発表するのが<宝みっけ>です。ただし、その時に、宝を見つけたの感情や、五感を使ったヒント(すべすべしてる、甘い匂い、音など)を出して、当ててもらうのです。

またもや「えーっ、面倒くさい」「ないよ、そんなの・・・」と言いながら、一見だるそうに歩いているのですが・・・。7分後には<なめくじ><カルピス><ばらばらに切られたカード><ポップコーン一粒><枝ぶりが良く木登りにぴったりの木>といった宝が並びました。木に登って転がり落ちる真似。怪訝な顔つきで匂いを嗅ぐ等、恥ずかしかったり、照れくさそうにしながらも、ヒントを伝えようとする思いが、しっかり届きました。そして、まん前に陣取り、まっさきに、すっと手を上げ答えていたのが彼らでした。

<しりとり宝探し><宝みっけ>と、内的活動に集中した彼らは、ため込んだ体力を、ほとばしらせるように、<旗取りチヤンバラ>に向かっていきました。大人チームの旗に向かい、真っ直ぐには行かず、体育館の裏から回り込みます。どう見ても遠まわりです。大人からは無駄な動きにしか見えません。それでも彼らは「裏作戦!」と、呟き、にやりと微笑み、走りました。その走りっぷりは、ロバではなく、駿馬!見惚れてしまいました。

この2時間で、彼らは変わっていきました。人との関わりの中で。一緒に遊んだ仲間の力で。

彼らと一緒だった仲間忍者達からは、「どう接していいのか迷った。」「うまく彼らの思いを引き出せなかったのでは・・難しかった」等の感想が出ました。私は、素直な、とてもいい感想だと思いました。迷っていいのだと思います。これで良かったのか?他にもっといい接し方があったのでは?と、問いながらの繰り返し続けることです。大人も、子どもも、迷いながら、戸惑いながら、悩みながら、一歩、前へ進みました。

目の前の反応だけに左右されないこと。

その後ろに、奥に、しっかり思いを馳せること。

関わることを諦めないこと。

彼らを通して、改めて、バーバンの活動の醍醐味を味わいました。また、一緒に遊ぼうねっ。

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