NPO法人 あそび環境Museum アフタフ・バーバン
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2007年1月27日(火)

第120号『子どもの視線、それぞれの視線をていねいに吟味する
――見たものからものがたりを、『酉の市』を題材に――』(金子ざん)

去年の12月から新年1月にかけて、江東区の小学校、台東区の児童館、高校生、埼玉ふじみの市の児童館、千葉の子ども劇場、練馬区の児童館と劇つくりのワークショップを展開してきました。そんな中での台東区の児童館でのひとコマです。

台東区は千束児童館、酉の市で有名な鷲(おおとり)神社や樋口一葉記念館がすぐそばにあります。私と高橋奈巳(人形劇団ひとみ座)で、出かけた劇つくり、題材は11月ににぎわい熊手を買うことで有名な『酉の市』。職員の方々も意気込んで、『酉の市』について様々ことを調べ、地域の古老にも話を伺って下調べ充分で臨んだ劇つくりでした。

集まった子どもたちは、1、2年生。3年生以上がいれば内容ができると踏んでいた私たちにとって、どうなることかと少々不安が募りました。
いろいろあそんだ後に、いよいよ『酉の市』について尋ねてみると1人の子を除いてみんな「知ってるよ」「あ、知ってる」の大合唱。これはいけそうだと、「何がある?」と聞くと、「お好み焼きが300円」「ソーセージが100円で売ってた」「くじも100円だった」「でもはずればっかりなんだよ」「あたし2等当たったよ」「いか焼きが美味しかったよ、200円」ちっとも熊手のことや「酉の市ってどうして酉の市って言うのか」なんてことは一切出てきませんでした。で、一通り聞いたところで、「あのさあ、酉の市で顔を上に上げると何がある?」・・・「ある、ある、大きなウチワ」「そうすごい大きなウチワみたいなの」「それ、何とかって言うんだよ」(熊手というのは子どもからは出ず、最終的には職員の方が答えてくれました)・・・私「そこにはどんなものが飾ってあるの」・・・「昔のお金」「女の人」「お面」「神様」「さかな」「鯛」「船」「船には人が乗っているんだよ」「食べ物」「葉っぱ」・・・事前に調査してわかっていたことは、熊手には大きく2種類あって、中心にオカメさんがいるものと宝船が浮いているものとあるようです。さっそくそのウチワなる熊手をめいめいに描いてもらうと中心に女の人(オカメさん)がいるものが多く、このオカメさんについてもお話を作ろうということに帰着しました。

そこからは、とんとんと話が進みました。オカメさんは昔この町の人々がさびそうな顔をしているのを見かめて、何とかしたいと思っていました。そこに不思議な熊手を拾いました。これは変身熊手です。犬を飼いたい女の子がいると目の前で犬になってあげたり、ふとんでなくてベットで寝てみたい女の子がいるとベットになってあげたり、一人で寂しそうに庭を掃いている老人がいると箒になって仲良く掃き掃除を手伝ってくれたりと、・・・こうして、町の人は笑顔を取り戻し、それから熊手の真中にオカメさんが鎮座するというものがたりです。

本番の発表会には、お父さんお母さんに交じって、熊手売りの場を提供している地域の方が見に来てくださって、「よく考えたね」と子どもたちに声をかけてくださいました。

子どもの目線、子どもの視点から、予想もしない物語になりました。これが3、4年生ならまた違い、5、6年生ならまた違い、大人は大人で違うんだろうと思います。でもそれぞれに自分が考え生み出した、それが絡まり融合して形になった実感は強い経験と自信になります。私の劇つくりの視点はそこにあります。与えるのではなく、あなたの中にあるものを探りたい、またはあなたの中を通して、そこから物語を紡ぎだしたいということ。
「調べたことが思わぬ方向に発展しましたねぇ」と職員の人に言うと、「いや、生きてますよ、それに調べたことは調べたことで、とにかく自分たちが楽しかったのですから」と言っていました。

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