NPO法人 あそび環境Museum アフタフ・バーバン
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第145号『制約から生まれる新たな視点』(山内たいら)

今年のゴールデンウィークは29日(祝)が東京ネイチャーランドの設立プレイベントとなる「みんなで忍者」。5月3日(土)〜6日(水・祝)は横浜市にある「ワンダーシップ・環境エネルギー館」での「ミスター]探偵社」と、大きな2つの取組がありました。
その中で今回取り上げるのは「ミスター]探偵社」での出来事です。

アフタフ・バーバンスタッフ10人が3つのチームに分かれて全体テーマである「探究心」を磨くため、5つのコーナーを担当した4日間。その5つの中に、僕が担当した「モンタージュ」がありました。
商店街で行う忍者修行で、ここまで数多く重ねてきた「かわら版修行」。手掛かりをもとに商店街のどこかにいる道場主様を探し出し、その人の似顔絵・情報を「かわら版」として作成するこの修行。今回、この「かわら版」を探偵として「モンタージュ」とアレンジしたわけです。
ワンダーシップの中にいるターゲット(ワンダーシップのスタッフ=インタープリター)をモンタージュするわけですが、今回の一番の難関が「このコーナーの所要時間は20分」という時間の制約でした。

(1)具体的中身を説明
(2)チームに分かれる
(3)指令書を渡す
(4)作戦を練る
(5)ターゲットを探す
(6)顔を覚え、情報を聞き出す
(7)最初の場所に戻ってモンタージュを作成する
(8)他のチームとモンタージュを交換する
(9)他のチームの書いたモンタージュの人を探し出してサインをもらう
(10)元の場所に戻って報告
 
という行程を20分に収めようという挑戦!
初日1回目、全てのチームが戻ってきて終了となるまでにかかった時間は約27分・・・。
2回目は他のチームと交換することが出来ず、各チームが作成したモンタージュを見せ合うところまでで時間切れ・・・。
モンタージュを作成するだけでももちろん面白さはあるのだが、今回のテーマ「探究心」を磨くためには、やっぱり探し出すところまでやらないと達成感が今ひとつなのも事実。
このコーナー担当の北島・山内・佐藤の3人は緊急作戦会議を開きました。

「僕らが事前にモンタージュを作っておいて、その人を探してもらうか?」
「ん〜・・・でも情報聞き出すのも面白いよ」
「移動に時間がかかっちゃうからモンタージュを交換する場所を1階じゃなくて4階にするとか。」
「でも30人が集まれる空間は厳しいよね。」
「・・・」
「そしたら顔を覚えてくるんじゃなくて、紙とペンも持ってターゲットのところに行って、ターゲットには気づかれないようにモンタージュ作るっていうのは?」
「チーム分けも受付して座るところから分けて、始まるときにはもうチーム分けが終わってるようにしよう!」
「中身の説明も3人が実際シーンをやって見せれば時間短縮できる」
「それならいけるかも!」

ここまで「その人の目の前で似顔絵を作るのではなくて、チームみんなで協力分担して覚えてきて、別の場所で書き上げる」ということにこのプログラムの大きな意味を感じて実施してきました。
実際、そうして出来上がる似顔絵は、とても温かく、その人の雰囲気が伝わってくる素敵なものでした。
道場主様の中にはとても喜んでいただいて、お店の壁にしばらく貼ってくれていた方もいらっしゃいます。
しかし今回、時間の制約により、このこだわりを捨てざるをえませんでした。

そうして迎えた3回目。
何とかギリギリ時間内で終えることが出来ました。

そして、今まではチームみんなの手で書かれていた似顔絵が、様子が変わりました。
ほぼ全てのチームが手掛かりを得るためターゲットに質問する人と、似顔絵描く人に役割分担したのです。
結果、一人で似顔絵を描くことになりました。
大人が描くチームも増えました。
絵の面白さとしては、ちょっとマイナスになった気がしました。

それでは全くつまらなくなったのか、というと決してそうではありませんでした。
「ターゲットに気づかれないように似顔絵を描く」という要素が新たな場面を生み出したのです。

ターゲットに出会う前の作戦会議で、どんな情報を聞き出そうか、質問項目をチームで出し合います。
誕生日、血液型、好きな食べ物、昨日の夕食、年齢、趣味、、、。
そんなことを聞き出してる間、気づかれないようにターゲットとはちょっと距離をとって隠れながら似顔絵を書き出す探偵。
しかし、一人で似顔絵を描く作業は1分や2分で終わるわけはなく、でも予定していた質問は全部聞いちゃったし・・・。
似顔絵を必死で書いてくれている仲間のために、情報を聞き出す探偵はとっさの判断で時間を稼ぎます。
「え〜っと・・・ここで働き出して何年くらいですか?」
「ちなみに身長は・・・?」
用意していなかった質問を各自即興でぶつけていきます。
このライブ感はなんとも言えず面白いものでした。
今までこのプログラムでは感じたことのない感覚でした。

今回、時間という制約を目の前にして、今まで握り締めていた一つの面白さを手放すことで、新たな面白さを手に入れることが出来ました。
一回手に入れた実感を手放すには勇気がいります。
分かっている面白さにしがみつきたくなってしまう自分がいます。
でも、ずっと同じものを握り締めていては、新たなものはつかめないのです。
追い詰められて、ギリギリまで考え抜いて、やっと、いやその時は仕方なく、手放したのです。
新鮮な喜びでした。

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