NPO法人 あそび環境Museum アフタフ・バーバン
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2008年5月18日(日)

第146号『継続的な活動を支えているもの
―長野県上田市『上田演劇塾』の実践に出会って、―』(金子ざん)

おそばとりんごが美味しい信州長野県は上田市、そこに、子どもたちと1年かけてお芝居を作り発表をする『上田演劇塾』があります。上田は、専任の清水くんの生まれ故郷でもあります。そんなご縁もあって演劇塾11年目の新年度、『入塾式』に呼ばれました。

小学校3年生から中学3年生まで子どもたちと親。
上田子ども劇場創立メンバーの岩下さんが、地方で演劇集団をつくりたいと、始めるようになったとのことです。発表することもさることながら、そこへ向かう過程の中で、さまざまなドラマが生まれます。そのひとつひとつを、大事にしながら進んでいく塾です。

やや厳粛な入塾式。子どもたちはたくましかったです。自己紹介で前に立った男の子は、『小学校4年生の○○です。好きな食べ物は、・・・お母さんの作った手料理です。』厳粛であるはずの入塾式をその一言で愉快な場に変えてくれました。そのことで、私たちの緊張も解けました。

その後が、私たちのワークショップでした。
代表であり、脚本を書いておられる岩下さんは、『どうしても自分がこうしたいということが先行して、子どもたちのアイデアをどう取り込んでいけばよいのかが、わからなくなって、今迷ったり悩んだりしているところなのよ』そんな思いがあり、私たちに声がかかりました。
何を、届ければいいんだろう? 『台本を読むことでなく、体をつかって、考えること、その場で出てきたせりふを、出してみること』を思い、ワークショップを組み立てました。

鬼ごっこやら、色みつけに始まって、本物は誰だをやりました。演じることが好きで好きでたまらないんだなあと思うと同時に、その表現の丁寧さに積み重ねてきた力を感じました。
美味しいものを体で表現したときに、バナナを中学生が見せてくれました。でもそれは、皮のむかれ方が緻密で緩やかで見事な曲線を描いていました。チームに分かれて、浮き輪を表現したときには、小中混合でしたが、小3の女の子が輪の中に入り3人の小中学生が手を組んで浮き輪を表現しましたが、その浮き輪がたゆたっている様子たるや、海が見え情景が見えました。単純なのだけれどそれをおろそかにしない子達なんだなと感心しました。

また、例の会場を愉快にさせてくれた男の子たちは、田植えというところで、コミカルな動きをするしかし働き者のおじいさんを見せてくれました。見ているみんなは大笑いで、アンコールがかかりました。
その表現には、力があり、思いがあり、こんな風にしたらより自分たちのものになるという願いがしっかりとこめられていると感じました。借り物やものまねで無い自分の自分たちの中から生まれ出たものである力がありました。

岩下さんは、今年限りにしよう、これで最後にしようと悩みつつも何とか続けています。続けることにゆれながら、今も続けています。そんな真摯な態度に、私たちはどれだけお手伝いできたのかはわかりませんが、子供を見つめる目と思いの強さが、継続を突き動かし、表現することが好きで、そのままでいいんだよが保障されていることを見ました。

最後は、今年取り組む地域の民話『小泉小太郎』さんの劇に触れようと、余白の部分を補うような外伝のような話を作りました。
群れから外れたいのししや、しか、うさぎ、へびが、村人に打たれそうになるのを、小太郎さんが助ける話。水が無くて困っていたおじいさんを助けようとして生き埋めになったうさぎをみて、それを助け、水を掘り出す話など、子どもたちと大人がいっぱい知恵を出して、創作しました。
そのときの高学年の女の子の姿は、けなげでした。年下の子達の意見を懸命に受け入れ、自分はどこの役を担えばこの世界が作れるのかを、必死に探しているのです。お互いが支えあうことで光が強くなるのがわかりました。
これは、継続し、発表の場を持ち、そこに自分たちの思いを込めているからこその力だと思いました。

私は、数年前にオーストラリアの世界ドラマ大会(IDEA)で見た、デンマークの子達の劇を思い出しました。普段入ったって無邪気で普通の子達が、いざ劇の世界に入った瞬間にものすごい集中力で、その劇を担っていく姿を。
これは何も演劇に限ったことではないわけです。
無垢であることをどこまでも保障してやまない、場を見た気がしました。

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