NPO法人 あそび環境Museum アフタフ・バーバン
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2008年11月20日(木)

第155号『ごきげんの森』(清水洋幸)

この11月、九州は熊本と佐世保で、参加劇『にこにこ山はたいへんだ!!』を3公演行ってきました。
。『にこにこ山はたいへんだ!!』は、どんなお話かというと、仲良しの3匹、とんちゃん・てんちゃん・かんちゃんが、村のおまつりオリンピックに必要な聖火のたいまつを届けるというお話です。そして、にこにこ山に向かう途中にはオオカミのいる泣き虫峠を通らなくてはいけません。困った3匹は、“ ごきげんの森”に相談に行きます。はたして、どうやってオオカミという障害を越え、そして、たいまつを届けることが出来るのか!?そんなお話です。

そして、実は、“ごきげんの森”は劇を観ている子ども達や大人達なのです。最初は観ているだけなのですが、3匹が困って困って“ごきげんの森”に行こう!ということになり、森を探したどり着きます。ごきげんの森は『・ごちゃごちゃしていて、・気まぐれだけど、・元気になる森』。森にたどり着き、3匹は森を見ます。観ている自分達が森なんだということになり、恥ずかしくなったり、戸惑ったり、嬉しくなったり、ちょっと笑ったり、そんな森に3匹は問いかけます。

「峠でオオカミに会ったら、どうしたらいいですか?」

ある1方向から小さな声で「〜〜すればいいんだよ!」ごきげんの森から声が聞こえてきます。次第に森のあらゆる方向から声が聞こえてきます。
「よし、もっと近くにいって聞いてみよう!!」3匹は分かれて森の中に入って、近くで個々に聞きにいきます。

3匹がまた集まり、どんなことを聞いてきたか互いに報告をしあいます。
「隠れていけばいいって!」「なるほど!!」
「穴を掘ればいいんだよ!」「お〜!」
「持っているたいまつの火をオオカミにつければいいんだ!」「え〜、食べられちゃうよ〜!」「そうだね〜〜」
「持っているおやつをあげればいいんだよ!」「そうか!」

この3匹で聞いてきたことを報告し合っている時のごきげんの森のある一部分(年長クラス)の様子が、とても印象的でした。
どんな様子かというと、みんなでとても嬉しそうな喜んでいる顔をしているのです。
そして、何やら森たちが互いに話しているのです。何て話しているかは、少し聞こえた言葉とその様子からの推測で、正確な言葉ではないですが、おそらくこんな事を話していたのだと思います。
「あ〜!○○君の言っていたことが言われた!」「ほんとだ!ほんとだ!」「やるね〜!」「いいねいいね!!」
ある子どもがいったアイデア「オオカミにおやつをあげればいい!」が全体に報告されて、そして、その事で「やったね!!」とみんなで喜んでいるのです。

その様子は、一人のアイデアが、みんなの中で認められて受け入れられて、みんなのもの、みんなのアイデアになっていく過程なんだと思いました。それぞれ、ひとりひとりの中にいろいろな思いが生まれ、それを3匹に伝え、そして、また、3匹がそれらを全体に返して共有していき、そして実際にそのことでお話が進んでいく。そのやりとりを繰り返していく中で、みんなでみんなの事を認め合っていくことが生まれているのだと思います。最初は、個々にバラバラに意見を言っていた一本の木が、3匹を介して互いの意見に耳を傾け、「それ、いいね!」「なるほど!」「おもしろいね!!」とお互いに呼応して共鳴して、ある種本当の意味でひとつのごきげんの森になっていくのです。

ごきげんの森、”ごちゃごちゃしていて” ”気まぐれな”森。本当にみんなバラバラ、みんな違うそれぞれの木々達。でも、時に森全体が響き合い、みんなで思いを分かち合い、3匹とみんなで力を創り出す“元気になる森”

そのようにごきげんの森と3匹で思いを分かち合う瞬間を積み重ねながら、話は佳境に入っていきます。

なんと3匹はたいまつをオオカミに取られてしまうのです。そこから、再びごきげんの森の知恵を借り、何とかオオカミからたいまつを取り返します。しかし、それに気づいたオオカミは、3匹を追いかけてきます。さぁ、たいへん!!いつまでも3匹を追いかけてくるオオカミ。3匹は、ごきげんの森達と “オオカミが近づけない森”を考え創ってオオカミがいなくなるように願います。

オオカミが近づけない森って何だろう? 
ごきげんの森からから出てきたアイディアは、「尖っている森」「火の森」「お化けの森」…etc。オオカミが今にもくる切迫感の中、いろいろな意見がそれぞれの口から出てきます。たくさんの声。ちょっとした興奮状態。いつもは、そんな子どもたちの一生懸命な声に3匹は圧倒されてしまう傾向がありました。でもその日は少し違った感覚でした。

たくさんの声の中から「オオカミの森」という声がだんだん大きくなってきました。「オオカミの森!」「オオカミの森!!」

「オオカミの森かぁ!んっ…どうゆうことだろう?」「オオカミの森になったら、オオカミが仲間だと思って森の中にずっといるよ〜!」と3匹はごきげんの森さん達に返しました。その3匹の声を聞いた興奮気味なごきげんの森たちは、ゆったりと静かになりました。森から「そうかぁ、なるほど。」という声が聞こえてくるようでした。つまり、しっかり3匹の思いを聞いて受け止めてくれたのです。「じゃあ、〜〜〜」とそこから違う意見をだしてくれました。3匹の悲痛な思いに響いてくれたのです。
自分の思いを出すだけでなく、そこには思いの交流がありました。みんなで思いを分かち合おうとするごきげんの森がありました。最後は、そんなごきげんの森たちと3匹は、森を幾度と変化させて、見事にオオカミを退散。
「やったーー!!!」みんなで喜びを分かち合いました。

ごきげんの森、”ごちゃごちゃしていて” ”気まぐれな”森。本当にみんなバラバラ、みんな違うそれぞれの木々達。でも、時に森全体が響き合い、みんなで思いを分かち合い、3匹とみんなで力を創り出し“元気になる森”

人間みんな違う。それぞれの自分らしさを発揮しながら、しかし、時に響き合うことが出来る、みんなで答えを見つけ、達成して喜ぶことが出来る。そんな関わり合いを実感することが、今の時代に大切なはず。

日本各地にあるごきげんの森。たくさんのごきげんの森を訪ねたい!森が響き合う瞬間に出会いたい!!

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